グローバル社会起業家:トキワエイスケ著の『悪者図鑑』をタイトルに惹かれて読みました。
期待の意図とは少し違いましたが、エリートの抱える悪人的側面なども考えることができて、自分自身と身の回りにいる、悪人の姿を見つめ直すヒントに溢れた一冊でした。
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100%の悪者という設定には無理がある
子どもの頃、自分が見ていたヒーロー戦隊モノなどは、完全に悪と戦う善の立ち位置を応援するコンテンツでした。
世の中は、善と悪に分類がシンプルにできるなんていうのは思い込みで、善の顔をした人が悪事を働き、悪いと知りながらもやってしまう善人だっています。
だからこそ、悪者を図鑑としてまとめようというのは、もしかしたら大きな無理があるテーマ設定なのかもしれません。
誰もが善人ではなく、悪人の要素を持っている!
善人と悪人というシンプルな対立軸で考えれば、普通に生きていくためには善人でありたいと考えてしまうものです。
ただ、善人の中にも無意識の悪人的要素があるし、悪人にだって善人的な心がないわけでもありません。
むしろ、自分は正しい、素晴らしいと思い込んでやっている行為や言動が、誰かを深く傷つけているとしたら、それこそ、無自覚な悪人的行為なので、タチが悪いと言わざるえません。
昨日のこと振り返って考えてみてください。
丸1日を通して、自分が善人でしかなかったと胸を張って言えるでしょうか。
頭をよぎったのは、親鸞の悪人正機説
この『悪者図鑑』を読み進めていくうちに、親鸞の(浄土真宗)の説いたとされる有名な「悪人正機」説が頭の中に浮かんできました。
「“悪人”こそが阿弥陀仏の本願(他力本願)による救済の主正の根機である」という意味です。
悪人は地獄に堕ちればいい、ではなく、悪人(悪者)ほど救われるべき存在なのだという言葉を最初に聞いた時の衝撃は忘れられません。
悪者・悪人になりたいわけではなく、ならざる得ない状況に追い込まれている人は、結構いるものです。
もちろん、絶対に許せない悪者という存在がいるという事実も忘れてはいけないのですが。
偽善だと言われる行為の裏にあるのは、悪者マインドなのだろうか
多額の寄付をしたり、自分の命や財産を投げ打ってでも誰かを救おうとするような行為は、多くの人から「偽善」だの「詐欺」だという批判を受けやすい。
もちろん、行為の裏側に潜む心情や暗躍する計画などがないとはいえません。
ものすごく相手にとって役立つことをしている方は、何らかの見返りを求めているとも言われるし、そのような場面も何度か見てきたはずです。
最初から、悪者になろうというダークな思いを持っていたというケースよりも、致し方なく、自分自身が逃げようがなくて、相手を騙すなどの行為に向かってしまうような背景もあります。
ただ、キッパリと悪者・悪人にならないと断言して生きること自体に無理があります。
ここで大事なのは無意識であっても、他者から見れば悪ということはいくらでも存在することです。
万人にとって共通の善悪はあるようで、実は、立場や状況によって変化するものと認めないと成り立たない場面も、人生には起こりえますから。
悪者を生み出さない仕組みって作れるのだろうか
『悪者図鑑』の後半で、悪者を生み出さないような仕組みを作ることの価値を著者が語っています。
ただ、このような仕組みがあっても、悪用する知恵者は消えるとは思えません。
誰もが善人であり、誰もが悪人でもあるという、身も蓋もないような結論を頭に入れて、自分がどのような立ち位置で、何をしているのかを冷静に見つめる能力だけは培っておきたいものです。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。