気になる1冊として、弁護士・神坪 浩喜『セクハラ・パワハラは解決できる!』を図書館から借りて読んでみました。
元・民事調停官がレクチャーしてくれる、セクハラ・パワハラの解決策をストーリーと事例を交えて解説してくれたので、当事者でなくても納得できる一冊でした。
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セクハラ・パワハラの解決は簡単じゃない!
今や、なんでもハラスメントの時代で、被害を受けたと思った側が声を上げやすくなったので、こういったトラブルの閾値が下がったとも言えるのではないでしょうか。
実際に、職場で起きたセクハラ・パワハラ問題に悩む女性社員が弁護士の力を借りて、民事調停で問題解決に向かうという、一般人があまり知らない世界が描かれています。
当事者が、単純に被害者・加害者と分けるだけでなく、同じ会社、組織の一員同士のトラブルだけに、解決するには金銭面だけで単純にまとまる話ではありません。
当事者間では解決できないからこそ、民事調整という手法のご案内をしてくれている点が、普通の人の感覚としては、珍しいと感じるのでしょう。
ただ、遺恨も残る、セクハラ・パワハラ問題の行き着く先は、どちらかが、その環境を離脱する(退職)以外、ありえないと私は考えているので、ストーリー自身は、しっくりとしない印象が残りました。(転勤など拠点を変えることで、物理的に双方を切り離すのは最低限必要なので、その点は盛り込まれていましたが)
行為と感情の差が、お互いを苦しめることになるから
正直にいって、セクハラをしてやろう、とか、パワハラしてやるぞ!という気持ちで相手に接する加害側の人間は、ほとんどいないでしょう。
感情の昂りと、結果として撮った行動に対して、相手が許容出来合いからこそ、ハラスメントというのは生まれるわけで、共感が生まれるポイントは存在しません。
この双方の差を縮める術があれば、ここまで尖った衝突を生むことはないはずです。
昔なら、立場の弱い者は受け入れるしか選択肢がない時代ならば、表沙汰になることすらなかった話なのではないでしょうか。
今の時代、ハラスメントを受ける側も大変ですが、思わずハラスメントだと非難される側も感情と行為の壁に頭を痛めているのではないかと想像します。
※私自身が、ハラスメント肯定論者ではありませんので、悪しからず。
セクハラ・パワハラは、加害者と被害者の関係性が修復できない
セクハラ・パワハラ事案が発生して、当然ながら、加害者と被害者が生まれます。
この関係性が生まれた時点で、お互いの溝は埋められない、修復のできない状態に発展していきます。
私の知っている事例でも、セクハラ・パワハラはお互いの見解、認識の違いにより、泥試合になり、調停的なまとめをしている側が心労でやられてしまうという話を耳にしたことがあります。
少なくとも、この加害者と被害者が会い入れることなどは絶対にないのであって、今後の人生で交わることのないような分断へ進まなければ、双方が不幸になります。
民事調停まで行かなくても、合意が取れる環境を社内で用意できるのか
『セクハラ・パワハラは解決できる!』の中では、民事調停まで話が進んでいき、解決に向かっていきましたが、実際は、ここに至ることではなく、事前に防ぐための対策が重要な気がします。
主人公の女性が相談窓口や再発防止に向けて担当になっていますが、このような環境を作り出し、社内への啓蒙活動を粘り強く続ける必要があるわけです。
それでも、結局、ハラスメントがなくなることはないでしょう。
明確なラインがあるわけではなく、被害を受けた、傷ついた側がハラスメントと訴えれば、ある程度は認められる時代に変わったのだから、当然です。
社内環境と啓蒙、そして、働く個人の自覚と冷静な言動をどこまで求めても、ハラスメント発生ゼロにはなりません。
どうしようもなくなったら、民事調停も選択肢に加えるために、一度、『セクハラ・パワハラは解決できる!』は読んでおいても損はないと思います。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。