「老害」という言葉を耳にする頻度、使う頻度が増えていませんか?
そんなタイミングで、医学博士(眼科医)の平松類先生の『「老害の人」にならないコツ』をタイトルが気になって読んでみました。
自分が老害になっているのかどうか、チェックする意味で読む価値のある本でした。
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老害の問題はどこになるのか?
たとえば、職場において「老害」がまん延すると、次のような問題が発生する可能性があります。
・年下の社員の意欲が削がれる
・組織全体の活力が失われる
・自由な発想や新しいアイデアが生まれにくくなる
・組織が停滞し、競争力を失う
・内部での悪事が問題視されずに見過ごされてしまう
以前から、聞いていた「老害」という言葉ではあるものの、自分より遠い場所にある、「困った年配者たち」だったはずが、自分が、その存在に近づいているとしたら、恐ろしくなります。
『「老害の人」にならないコツ』を読み進めて「老害」について、改めて考えてみます。
老害にある3つの壁を考えてみる
「老害」の扱いを平松先生は解説しながらも、3つの壁として整理してくれていました。
ここがなんとも秀逸だったので、抜粋しながらまとめてみます。
1.家族の壁
今一度「親しきなかにも礼儀あり」の意識喚起を
・自分の体の変化に意識を向ける
・カチンときても感情的にならない
・ひと呼吸おいて家族の話を聞く
・一度、素直に従ってみる
・自分に甘えがないかを問いただす
この家族の壁問題、胸に手を当てると頭が痛くなります。
確かに、一緒にいる時間・期間が長い相手だけに、慣れと甘えが出てしまうのではないでしょうか。
一人暮らしであれば、基本的に発生しないものの、誰か家族と一緒に暮らしていたら、これらの問題は生まれます。
近くにいる他人だからこそ、言われたくないことを聞かされて、頭にくるもの。
間違っていないからこそ、怒ってしまう。(相手に悪気はないのに)
私自身、反省をする部分です。
2.仲間の壁
逆の立場になったことを常に想像する努力を
・相手の負担になっていないか配慮する
・かつての常識に頼りすぎないように
・自分でできることはなるべくする
・紙に絵や言葉を書いて情報を整理する
・自分がやられたら嫌なことはしない
自分のスタイルややり方に、いつの間にか固執してしまい、相手のことを考えずに仲間(同僚含む)と接していないでしょうか。
面倒なことは若者に丸投げするなんて、昔かよくある話。
むしろ、面倒なことは他人にやらせればいい、自分はやらないという手抜き思考。
要するに、周囲の誰かに依存して甘えているという傾向。
私もさることながら、周囲の「ソフト老害」と呼ばれる対象者に見受けられる傾向です。
昔、若い時は、自分がやらされたのだから、今の若い人にやらせればいい、が通用しない時代なのですから。
3.社会の壁
自分の体だけでなく時代の変化にも対応できるように
・視野を広くすることをつねに意識する
・自分の行動が迷惑になっていないかを考える
・社会のルールの変化に敏感になる
・価値観の違いは対立ではなく歩み寄りで解決へ
・体や五感の変化(衰え)を受け入れる
街中などで、意味不明に、怒っている人は、年齢関係なく、老害的な存在だと思います。
自分の正義、スタイルを持つことは誰も否定しないものの、その通りに、世間が受け止めるとは限らない。
カスタマーハラスメントにも近い行動をしている人は、明らかに「老害」なのだと思います。
気がつけば、自分は社会のルール・規範とは違うことをしていると気が付く冷静さがない点が本当に痛い存在になっています。
なぜ「老害」になるのか、脳なのか、心なのか
では、なぜ「老害」に人は陥ってしまうのでしょうか。
一つには体力・気力など若い頃に持っていたものを失いつつあり、その頃との自分のギャップ、環境や時代の変化に適合しづらくなっているのは間違いありません。
これらを理解できない、脳の劣化なのか、心の衰えなのか。
若々しさを保つつために、身体を鍛えたり、新しいスポットに足を運ぶ人もいますが、その流れを拒否して、面倒になってしまうのも、「老害」の現れの一つです。
目の前に見えている、現実よりも、過去の自分や社会が良かったと感じてしまうと、このギャップは耐えられないのでしょう。
ちゃんと考えてみれば、この変化の一因に自分もいたはずなのに、いかにも、タイムマシーンで別の時代に連れてこられた人、みたいな態度や行動をとれば、周囲から煙たがられてしまうのは致し方ありません。
自分の「老害」度を感じた話
私自身、年齢的に「老害」のカテゴリーに入っても仕方ない年齢になりました。
そんな心の声もある一方、ギャップを感じて、「老害」モードを感じた時があります。
家族から、自分に指摘された事実に対して、不愉快に感じて、怒ってしまう姿。
同僚たち(特に若手)に無駄に気を使わせてしまっていると感じた時。
混雑状況に過剰にイライラしている自分がミラーに写っていた様子。
どれも、「老害」の入り口としての自分だったと気付かされます。
おそらく、全く「老害」のないまま、死ぬまで、現役バリバリという人は、人生100年時代にはありえないと思います。
もし、山に篭って、仙人のような生活をして、他者と全く接点を取らないならば話は別ですが。
自分自身をもう一人の自分が見つめて、大丈夫なのか?と確認するような気持ちの持ちようは必要だと、『「老害の人」にならないコツ』を読みながら、理解しました。
自分が「老害」として扱われる存在にならないために
正直言って、毎年、歳を重ねて、老化していくことは不可抗力、止められるものではありません。
抗って、無理やり若々しく過ごそうというのも限界です。
ただ、自分自身が、世の中や周囲の人にとって、どう見えているか、感じられているか、相手の立場から自分を見つめてみると、気が付くことがあるはずです。
「あの程度のことで怒る必要はないな」(的確な指摘をしてくれて、ありがとう)
「どうして、わかってくれないんだ!」(自分の伝え方がよくないのかな)
などと思った時に、深呼吸をして、30秒ぐらい考えてみる冷静さ。
私も、あなたも、反射神経的なハイテンポなリアクション・対応を求められても、一歩待つ、心の余裕を持ちたいものですね。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。