あの夏(2020年)に正解ってものはあったのか?高校球児の夢の舞台:甲子園大会中止という出来事

ザ・ロイヤルファミリー』を書いた早見和真氏は、強豪校の高校球児であり、補欠・控えだたったという過去を持つそうです。そんな思いをデビュー作『ひゃくはち』に綴りました。

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そんな早見氏が、2020年、コロナ禍で、甲子園という舞台を奪われた高校球児、監督などに取材を続けて、ノンフィクション作品とし仕上げたのが『あの夏の正解』という一冊です。

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5年経過したから、どんな思いを持って読めるのか

「Yahoo! ニュース|本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞」ノミネート作品としてわだいだった1冊を、5年経過した今、読み進めてみました。

新型コロナウィルスの蔓延で、行動と日常を制限され、仕事を奪われたり、はたまた命を失った人も出た時期に、たまたま、高校生として野球に取り組んだ彼らは、強豪校の環境で必死に練習をして、目指していた甲子園大会出場の夢・ゴールが消えてしまった。

そこで、当事者には何があったのかを冷静に、丁寧にアプローチしてくれた点は、本当に素晴らしいノンフィクションです。

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高校球児の憧れ、夢の場所である甲子園への道を目指した2校の物語

2020年、愛媛県の済美と石川県の星稜、強豪2校に密着した元高校球児の作家である、早見氏は、彼らと向き合いながら、話を聞き、甲子園のない夏の意味を問い続けました。

パンデミックに翻弄されて、日常が奪われたのだから、甲子園大会が開催されないのは致し方ないのかもしれない。

高校生活の全てをかけて、いわゆる青春を注いできて目指したものが、対戦相手に敗れるのではなく、予想外のものが目の前に現れて、消されてしまった事実。

この作品に出てくる、高校球児と同じ思いをした彼らは、あれからどんな大人になっているのだろうと想像してみる。

きっと、若手社会人として、何らかの形で生きていることは間違いない。

彼らにしか語れない、語りたくない思い出が、そこには埋もれているのに違いない。

監督・指導者もかける言葉がない

済美と星稜、ともに監督・指導者は球児と向き合い、どうやって失われた夢の舞台を埋めればいいのか。

部員が不祥事を起こして出場を辞退するのは致し方ないのは、自業自得だから。

ただ、この時は、高校球児には非がないのだから。

たまたま、そのタイミングで、高校生として甲子園を目指していたというだけのこと。

理不尽でありながら、避けようのない大会中止を受けて、高校3年生たちをどうやって引退させてあげればいいのか、両校の監督は悩み、苦しんでいた姿が垣間見れます。

春から練習もままならなかった彼らが、もし、大会が開催されたとして、アルプススタンドで応援もない甲子園での野球を楽しめたのか、と尋ねられると疑問が残ります。

高校球児の先に、プロを目指していた彼らや、高校で野球を辞めると決めていた球児も、機会を奪われたことに対する、おとなしく、物分かりのいいコメントしか出していない。

本音としては怒り狂うような思いがあったはずなのに、監督・指導者も受け止めることはできても、何もしてやれなかったであろうことは想像できる。

春の選抜大会出場校が1試合のみ、という形で甲子園で試合ができたのは良かったが、モチベーション高く、挑めたとは思えない。

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大人になれば、今年がダメなら来年も、が続くけど

大人になれば、今年の目標が達成できなくても、来年に再度チャレンジできる機会は得られることは多い。

そうリベンジやリカバリーの可能性が残ります。(定年退職などは別として)

崖っぷち、限られたチャンスに向けて、必死に取り組もうとした彼らは、留年して、翌年、甲子園を目指せたわけではない。

取り戻せないチャンスを失うなんて、人生のスタートに近いところで、勝負すらできなかった思い出は、個人もチームも虚しさしか残らないに違いない。

理不尽なことが突然起きるのは世の常だが、彼らは自問自答を続けるのか

甲子園大会に出場したから人生が大きく変わる人は限られています。

大半の高校球児は、地方大会で破れる、もしくは、レギュラーになれず、引退させられていきます。

でも、青春の思い出は良くも悪くも残ります。

そこで得た経験を、その先の人生でどう活かすのかは、個人次第。

きっと、自問自答をしながら、社会の一員として生きていくのでしょう。

あの頃、突然、世界を襲ったパンデミックは、まるでSF映画やパニック映画そのものでしたが、今後、類似のことが起こらないとは言えません。

元・高校球児の夢の舞台を奪わざる得なかったことは、同じように何かを奪われて、変わらざる得なかったすべての人々と同様に、歴史よりも、個人の記憶として、いつまでも残り続けるのだと思います。

早見氏の丁寧な取材に真摯に答えてくれた関係者にも頭が下がります。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。