岸博幸さんの『オリンピック恐慌』は予測可能な未来を語る良書

2020年以降『オリンピック恐慌』は起こるのだろうか?

本のタイトルの強さに著者の岸博幸さん自身が仰々しいと語る通り、オーバーな表現に感じます。(幻冬舎さんらしいタイトルの付け方なのだと思います。)

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2020年までは、オリンピックに向けて日本の景気や勢いは続くものの、それ以降、少子高齢の影響を受けて、人口減少になる日本は、大規模な社会的インパクトを受けることは予測可能な範囲だと考える主張は正しいと感じます。

この一冊の中で、様々な論を展開していますが、主だって、5つの章で構成されています。

・企業の生産性向上(個人の生産性と同期)

・社会保障の見直し(年金、医療、子育て)

・稼ぐ力(75歳まで働ける)

・資産運用力(貯金ではなく、自己責任でリスクととって運用を)

・スマホの使い過ぎはNG(テーマに関係があるのだろうか、疑問)

働く個人がスキルアップする5つのポイント

①日本はスキルアップしにくい国という認識を持つ

②終身雇用の仕組みは崩壊しつつあるし、正社員になれば安心という時代は終わったという認識を持つ

③日本は「人生90年時代」という難しい時代に突入したという意識を持つ

④自分の生涯のキャリプランを自分で作り、それに基づいて戦略的にスキルアップに取り組む

⑤第4次産業革命とグローバル化の時代に必要なスキルは何かを考える(157ページ)

日本ではスキルアップは難しいのだという前提をもとにしつつ、生涯のキャリアプランを自分で作ることを推奨するという難しい提言です。

もちろん、未来の社会でどんなキャリアやスキルが求められるのかは、おおよそのイメージしかつかないので、何に向かえばいいのか誰もが答えを見つけられない状況なだけに厳しい話だと言わざる得ません。

ただ、会社組織で正社員が素晴らしいという従来の日本の価値観が壊れたという事実は認めて、自分はどう生きるのか、働くのかを、個々人が真剣に考えるフェーズにいるということは、日本人が頭に入れておく必要はあります。

ドリームキラーに振り回されていけない!

これは私の個人的な信念ですが、人間は努力すれば必ずなりたい自分に近いところまで行けます。スキルアップして収入を増やすことにもそれは当てはまります。それを邪魔するのが周りの無責任な横槍なのです。自分の進む道を自分の意志で変えるのは自分のイノベーションに他ならないのですから、スキルアップに取り組む過程で周りの雑音は一切無視すべきだと思います。(167ページ)

さりげなく、岸さんが書かれていますが、ドリームキラー的な周囲の声などは気にするな、と強く自己主張をしている部分なので、気に入りました。人は不安になると、周りの意見に耳を傾けて、右往左往しがちです。ここで大事なのは、ぶれない自分の意思、ビジョン、ミッションなのです。

この部分は、一冊全体の中で、大半の方がスルーする部分だと思いますが、著者の人間的な言葉がストレートに出ていたので、私には響きました。

インターネットなどで発信するよりも消費している

インターネットというツールは、どうしても受け身のメディアになりがちです。流れてくるタイムラインの情報、噂やニュースも、自分で考えるというよりも、受信して消費するという表現が大変しっくりときました。

ちなみに、ブログやソーシャルメディアで文章と投稿したり、動画サイトに動画をアップしたり、自分のリア充を証明する写真をたくさんソーシャルメディアで公開したり、とネット上にコンテンツを頻繁に発信している人もたくさんいますが、圧倒的多くの人が発信するよりはるかに多量のコンテンツをネット上で消費しています。(260ページ)

先日、サードプレイス・ラボで「発信力」をテーマにした背景は、普通の人ほど、情報の消費者になってしまい、受け身になっていることで没個性になっているという課題が前提にありました。個人が媒体・メディアを持てる時代に、受け手だけになる必要はありません。

消費するだけならば、旧来からのマスメディアから影響を受けるだけの立ち位置と何も変わらないからです。

【まとめ】オリンピック恐慌的な影響は予測可能な未来

私も東京オリンピック後に、明るい日本の未来を予測するのは難しいと考えています。

どこまで早く、適切な準備や対応を図らないと、世界の中で、日本の地盤沈下は発生してくるでしょう。また、社会全体のアンバランスから不安な社会になるという危機感もあります。

政府・霞ヶ関が中心となって日本社会をどうしていくのか、という大上段からの話だけでなく、個人がどうやって生きるのか、働くのかということを真剣に考える世の中にシフトしていくことを理解して、準備を始めるべきだと考えました。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。