戦略は常識を少し超えた知恵やアイデアが必要
人間が生きていくうえで、どうしても目の前のことをテクニックとして、どうこなすのかという「How to」に意識が向かいがち。
戦術を駆使する前に、しっかりとした戦略を立てている人は歴史的にも評価されている名将になっています。
キングコング西野亮廣さんの出版本の売り方は、本当にすごいと感じています。
もちろん、出版された本の中身がオリジナルであり、彼自身に、吉本のお笑い芸人として知名度があり、日本最大のオンライサロン:を持っているという実績は効果が効いています。
私は、リアルで西野さんのことを全く知りませんが、彼のオンラインサロン:西野亮廣エンタメ研究所、SNSの発言、周囲の動きなどを見ながら、勝手に戦略を想定してみました。
3カ月連続で出版をしたのはなぜなのか?裏読みをしてみる
西野亮廣さんは、3か月連続で出版を行っています。
私は、この出した順番に意図を感じました。
まず、彼は、何をしたかったのか、どう考えていたのかを勝手に推測してみます。
既存にない考え方とやり方で、新しい本を売ってみせよう。
私の見ていて考えたことを列挙してみます。
「サイン済み」本を売る
その上で、彼は、自分の生き方や考え方とオンラインサロンをアピールできる『新世界』を発刊しているのではないでしょうか。
しかも、手書きでサインを裏表紙に書くという行為を組み込むこと。
芸能人ならサインは当たり前ですが、サインはリアルに会って交流した時点で、対面で渡すものというイメージが強いです。
ただし、全国津々浦々に、自分がサイン会を開くのは厳しい。であれば、手渡す時点で、サインを書いて渡せば、読者は喜んでくれる。
決して、サインを印刷するのではなく、1冊1冊丁寧に書くという作業を画像としてSNSに投稿して、拡散してもらう。
この画像、投稿を目にする頻度が増えると、接触頻度が高まり、『新世界』『ほんやのポンチョ』が気になる人が増える。
当然、本を手にしたタイミング、読んでる途中、読み終えた感想を、個人が投稿して、シェア(拡散)が増えていく。
もちろん、サインを大量に書くという手間はあるものの、特別感を与えることで、喜んで本を買ってもらえます。
今までも、出版社や本屋のイベントで著者を読んで、目の前でサインをするという形式はスタンダードでした。
本を買ってくれた相手の名前を書いて、目の前でサインを書くのがスタンダード。
でも、サイン済みの本を売るという発想は持っていなかったのです。
行為と結果は一緒でも、タイミングやアプローチを少しずらしています。
結果として、販売部数が増えることで、噂が広がり、既存メディアにも取り上げられたり、重版がかかっていくことになります。
サイン本の魔力は、自分だけの特別なモノなので大切にしやすい(読後に売らない)。
リアル書店に出向いて人と会い、Amazonでは特別感を与える
出版直後、西野亮廣さんは、相当な頻度で書店巡りをしていました。
出版後、出版社の営業、著者自身がPOPを作り、書店周りをするというのは地道な販促活動の存在は有名です。この際、よほどの著名人でないかぎり、著者の顔を一般人である私やあなたが見てもわかりません。(すれ違いしてもスルーしてます)
ところが、西野さんは、吉本のお笑い芸人で顔も名前も知られている存在。
彼が大きな書店を積極的に回ると、当然、出会った人は喜び、握手やサイン、挨拶をして喜んで、その模様をSNS(Twitter)に投稿する。もちろん、西野さん自身のアカウントも投稿して、拡散力が高まり続けます。
全国の書店をゲリラ的に現われて、その様子が目に触れるという作戦。
リアルな書店に行けば、西野亮廣さんに会える!というのは、日頃、本を読まない人を書店に足を向かわせます。
出版不況の理由は、色々と取り上げられていますが、硬直された仕組みの中で、他のメディアや媒体(インターネット上の動画配信サービス、SNSなど)に時間と労力を奪われて、本を読む時間がなくなっているのです。
当然、Amazonでも本は買えますが、これは特定された本を買う行為です。いくら、あなたにおすすめの本の情報を与えられても、購入する確率はそれほど高くありません。
読んでいる友達、知り合いが多いヒット本の存在を知ると、自分も読んでみたいという心境に追われて、ベストセラーが誕生します。必ずしも、新聞広告、雑誌の書評などの影響ではないのです。身近な人の評判が、読んでみたいと思わせるのです。
では、Amazonで予約して配本・販売する行為は、普通なので、それを越える方法を西野さんは考えていたようです。
絵本のキャラをカバー表紙にした『新世界』をAmazon限定で販売するという作戦に出ます
本の表紙は、堀江貴文氏を中心に本人がビジュアルを使うという本が多く、売れている状況なのに、ここで、掟破りの限定カバーバージョンとして投入しています。
見事!うまい!としか言えません。
3冊連続で毎月出版したことで、相乗効果を生み、本屋も出版業界も盛り上がる
単純にこの表紙が面白くて、話題にする人もいれば、ビジネス書『新世界』(西野亮廣)を読もうとしていた読者に『ほんやのポンチョ』(にしのあきひろ)の存在を知ってもらうことになる。
絵本『ほんやのポンチョ』は児童向けでも、購入するのは大人たちです。とすると、彼の他の本や活動も注目を集めます。ゲームやスマホに夢中になりそうな子供たちに絵本を提供する姿勢、そして、絵本の作り方(分業制)なども、考えられています。
つまり、『新世界』と『ほんやのポンチョ』のダブルの販促ピーアルになっています。本来は、ターゲットが全然違うジャンルの本なのに、こういう連携をしてきています。
おそらく、この策は、かなり前に考えられて、進められてきたものです。
公開された情報のタイミングと仕掛けのタイミングにはタイムラグがあるはずです。
出版社を越えてキャラクターを使う点、各出版社(角川、幻冬舎)の理解を取り付けていますし、当然、カバー表紙を別途に印刷するのであれば、デザインや印刷会社とも連携が済んでいないとできません。
表面に出ている結果のために、西野さんや関係者が考えていたことは何のなのかという裏読みを勝手にしてみます。
今まで、誰もがやっていないことを柔軟な発想で仕掛けて、実績を作り上げていく
本が売れない、出版不況という言葉が、勝手な思い込みで、関係者の工夫が足りなかったのではないかという仮説があったのではないでしょうか。
既存にない考え方とやり方で、新しい本を売ってみせよう。
さらに、書店では人気コーナーになっている堀江貴文氏と共著した本『バカとつき合うな』もヒット本として並ぶ。
以前、出版した本もさらに売れている様子。
見事に書店・出版をジャックしました。
では、彼だけが盛り上がったかといえば、本屋に足を運ぶ人、本を読んでみようという人を開拓できているとしたら、業界全体へのプラスのインパクトが大きいのです。
もちろん、ほとんど本を読んでいなかった層からすると、他の本は読みやすくないかもしれません。(語り口調の『新世界』みたいな本は少ないので)
既存にない考え方とやり方で、新しい本を売ってみせよう。
もっと違うコンセプトやさらなる戦略があるのかもしれませんが、私は、こういうアプローチを図って、巻き込まれている人たちが楽しんでいる姿に価値を感じます。
西野亮廣さんのやり方を、批判やバッシングをすることは簡単です。今までにない手法を使っているので違和感を感じるのは当然です。そういう人たちは、代替のプランややり方で見せつけないと、周囲が納得できません。
そして、このタイミングでクラウドフアンディング支援を募っていた「えんとつ街のプペル美術館」も締め切り、6256万1500円も集めたのですから。
彼のブログ記事:キンコン西野 クラウドファンディグで6256万円調達!
彼の生き方や仕掛け方は人を巻き込みながら、インパクトを与えて続けています。
映画『えんとつ町のプペル』も確実にヒットする策を練っていると思います。
戦術を磨く前に、戦略を練ること。
戦略を練るために、既存のパターンや常識を飛び越える方法を考えて、チャレンジすること。
1人でやらずに、誰かと一緒にやりながら、本人が楽しむこと。
これらは誰もが何か企画やプランをする上で、参考になる方法です。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。