幼稚園児数と保育児童数の推移から
「待機児童問題」対策は、急務な社会課題となっている。
「保育所の待機児童は、保育所への入所・利用資格があるにもかかわらず、保育所が不足していたり定員が一杯であるために入所できずに入所を待っている児童のことと定義される。」(Wikipediaより)
出生数、出生率は年々下がる、少子化が進行している状況なのにも関わらず、待機児童問題が発生しています。労働力人口の減少解決の為、日本政府は育児世代の女性を労働力として活用することを推進しています。
つまり、小さな子ども0−2歳児や、3−6歳児の小学校入学前の乳児・児童を預けて働かなければいけない女性が増え、母親の代わりに面倒を見る祖父母のような世代と同居していない為に、起きている問題と考えてもよいでしょう。
このグラフの推移を見ても明らかな通り、保育所利用児童数の伸びが続いています。一方で、幼稚園在園社数は、減り続けています。
ここで、気がつくことがあります。幼稚園児が減るということは、幼稚園数も減っているわけで、子どもを預ける箱として、活用できるのではないか。という疑問と、「認定こども園」の存在を見つめ直してみましょう。
なんと、平成26年と27年を比べると、認定こども園数は倍増しているのです。(平成26年:1360園 平成27年:2836園)
都道府県別のデータを見ると、東京都よりも、北海道、茨城県、静岡県、大阪府、兵庫県のほうが「こども園」は多いのです。
もちろん、地域差、組織としての役割、求められるニーズの違いなど、詳しく調べなければわからない点は多く、まだ、私は不勉強です。
ここまでの情報からすると、首都圏、主に都内は、待機児童を多く抱えている自治体が多く、悩まれている家族は多い。
一方で、都内の幼稚園は園児数が減り、施設のキャパシティに余裕がありながら、まだ、こども園にスライドしていない施設が多いのではないか、という仮説が成り立ちます。
ニーズも違えば、監督官庁も異なるのだから、保育園(厚生労働省管轄)、幼稚園(文部科学省管轄)は、問題が根深いのかもしれません。
また、経営スタイルの違いという意味でも、問題が存在することも想像できます。
私の娘は、2歳当時、認可外保育園に通っていました。
認可保育園という選択肢は、受入倍率と書類審査の結果、通過できませんでした。
コンパクトで新設のきれいな認可外の保育所で優しく育てられていたことに感謝しています。初めて親元を離れて過ごすには、アットホームな雰囲気は、最適だったと思います。
一方で、小さな施設であるがゆえの不安も抱えていました。園内で遊べるスペースが狭かったり、園のイベントも小規模になります。触れ合う友達の数も限られています。
保育園は子どもの為というよりも、親が働く為に、預かってもらう施設というのが本音でした。
毎朝、自転車で送りに行くのは、私と妻の交代で、悪天候な日は、とても大変でした。
3歳になるタイミングで、再度、認可保育園へチャレンジしたところ、補欠になりつつも、3月後半に、入園可の連絡が届きました。家からも近く、気に入っていたので、私としては、是非に、という気持ちでした。
ところが、娘と妻の考え方は異なりました。娘は、幼児教育のDVD教材などを見て、バスで登園する幼稚園という未知の空間へ興味を強く抱きました。
妻は、認可保育園に入れる為に、フルタイム勤務を始めていましたが、家事育児との両立に悩んでいました。
幼稚園にしよう!延長料金が500円!
3月半ば近くで、既に、募集も締め切り、定員も確保されたであろう、幼稚園探しが家族の課題になりました。
すると、空き枠があるというのです。
保育園確保の保活で、あれこれ悩み苦労していた私たち家族は拍子抜けでした。
急いで、制服を用意したり、鞄なども含めて、バタバタになりましたが、4月の入園に間に合いました。
妻は、正職員として働きだした職場を退職しました。
家計への影響という意味では、想定外のプランになり、私にかかるプレッシャーは相当、重い者に変わりました。
通常、幼稚園は、9−14、15時程度までの時間、子どもたちの世話、教育などをしてくれる施設です。
ところが、隣接する区の娘の入園が決まった幼稚園(お寺が運営母体)は、定時以降も、延長で預かる仕組みが存在し、延長料金は、1回(1日)あたり、500円という格安ワンコインというサプライズがありました。
もちろん、遅い時間まで、といのは厳しいですが、17時過ぎまでであれば、子どもが、幼稚園で預かってもらえるのです。
同様に、長期休みとなる、春休み、夏休み、冬休みも、ある程度のスケジュールでは、同様の延長制度で1日500円で預かってもらえる幼稚園です。おそらく、スケールが大規模な園だから、対応できるという事情は大きいと思われます。
結果として、妻は、入園後のGW明けに、3月末に退職した企業へ、パート扱いで復職するというラッキーな運に恵まれました。週3程度で、時短勤務が許されるという環境を提供してくれた上司の方には感謝の気持ちしかありません。
保育園で預ける時間が延長した場合、1時間あたりのコストは、500円では済みません。
もし、娘の通っている幼稚園(こども園という組織ではありません)の仕組みを活用できれば、こども園的な延長時間可能な幼稚園を増やすことで、待機児童の一部を減らすことができるのではないでしょうか。
先日、夏休み期間中の幼稚園の延長に預けに行く際に、理事長先生から、声をかけられました。
「お父さん、これからお仕事でしょう。時間ギリギリじゃないですか?もう少し前に預けてもいいですよ。」(通常8時から預かるルールがありますが、それでは、仕事に間に合わない方もいることを考慮しくれた上での声かけでした。)
もちろん、幼稚園の先生の労働環境は、負担が増しているかもしれません。
すべてに置いて、最高の幼稚園です、と誇るわけにもいかない事象もあります。
それでも、この幼稚園のように、受け入れ側の柔軟さがあれば、待機児童という社会問題を少しでも解消できる機会が生まれるのではないでしょうか。
待機児童問題といえば、保育園の施設数、受け入れ人数、保育士不足、といった、固定概念ですべてを決めつけてしまうと、解決方法を見落としてしまうのかもしれません。
一番大切にしなければいけないのは、子ども自身が楽しく過ごせる、という原点を忘れてはいけないと考えます。
ビジネスパーソンの中には、父親という役割も持たれている方も多いはずです。
または、サラリーウーマンとして、母親であっても、育児をしながら、仕事もこなすというのは、貴重な経験でありながら、大変な思いもされている方は多いでしょう。
幼稚園関係者の柔軟な受け入れ体制の広がりを促進してもらうことを希望します。
無理矢理に、保育園を増やすこと、保育士離職者を現場復帰させることだけが、得策だとは考えにくいからです。
時間やコストがかかることで、苦しむよりは、類似施設である、幼稚園運営側の方々が、3歳児以降の長時間預かり枠を増やしてもらえれば、待機児童の1割でも、2割でも減少する可能性が生まれると期待しています。
考え方や目線を変えれば、固定概念を振りほどけば、道は開けるのです。
例えば、近くの小学校で延長時間帯を学童組織と一緒に預かるみたいなプランがあっても、良いでしょう。(幼児と低学年の兄弟姉妹が一緒であれば、利用できるようなイメージです。お兄ちゃん、お姉ちゃんが、幼児を幼稚園から引き取り、学童に登園するようなスタイルは難しいのでしょうか。)
自分の意見を上手に伝えられない、子ども自身が楽しく過ごせる、という基本を軸に、政治家や行政側の政策立案、監督運営側の皆さんも、育児・保育サービス事業者の皆さんも、苦労がなにかと多いとは思いますが、一緒に取り組んでもらいたいと切に願っております。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
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