角川春樹さんが、SF作家の小松左京さんに「これを映画化するために会社を継いだ」という気合い溢れる言葉を投げかけた、1980年公開のSF映画『復活の日 』という作品をご存知ですか?
今回、コロナショックを受けて、気分を変えるエンターテイメントに触れるのも限界を感じて、感染クライシス作品を見て、現実を見つめ直してみることにしました。
こんな重い題材を扱う映画で勝負をしようした角川映画ってすごい
コロナショック・コロナウイルス関連で、いろいろ情報が流れてくるなかで、ウイルスや感染を扱った作品を見て、考えてみようというものがありました。
『感染列島
「イタリア風邪」は細菌学者によって作られたモンスターウイルス「MM-88」という設定
『復活の日 』ストーリーとしては、東西冷戦時代の終末期に、細菌学者が作成したモンスターウイルス「MM-88」が起源となり、全世界に猛威を奮っていくことがベースになっています。
※「MM-88」とは・・・
MMはMartian Murderer(マーシアン・マーダラー、「火星の殺人者」の意)の頭文字、88は継代改良した88代目の菌種を意味する。
アメリカの人工衛星が宇宙空間から持ち帰った微生物をもとに、フォート・デトリック(メリーランド州フレデリックにある陸軍感染症医学研究所の通称)で生物兵器として使える可能性が研究されていた。その原種「RU-308」がイギリスへ持ち出され、ポーツマス近郊の英国細菌戦研究所にてグレゴール・カールスキィ教授が改良を行った。カールスキィは職業的倫理観や良心の咎め、MM-88が万が一にも外に漏れた場合の人類滅亡の可能性を思ううちにノイローゼとなり、MM-88株をチェコスロヴァキアのライザネウ教授に送り、東西合同で対抗薬品を研究・開発させることを思い立つ。しかし職業スパイに騙され、CIAへ横流しされそうになったところ、スパイたちの乗る連絡機がイタリアのアルプス山中に墜落し、MM-88菌は世界にばら撒かれる(Wikipedia「復活の日」より抜粋)
「イタリア風邪」と命名されて全世界に蔓延し、感染者、死者を爆発的に出していく。
このあたりは、リアルなコロナウイルス感染を彷彿させるので戦々恐々なシーンです。(2020年春の時点では、背筋が凍る感覚、目を背けたくなる心境です)
南極はボーダレスでありながら、女性が資源に!
世界中でウイルスが蔓延していくなかで、気温が著しく低い、南極大陸だけは感染しないという設定。
当時は、南極大陸の各国の基地に女性が圧倒的に少ないという時代。(1980年当時ですから)
世界が破滅に向かう中で、女性との性行為による子孫を反映することが、さりげなく盛り込まれた映画です。(男女差別発想ではなく、当時の背景と現実問題から不可避な内容です)
ただ、女性が資源だ!という表現には違和感が残りました。
男性だから、女性だから、子どもだから、大人だから、高齢者だからという、もしくは国籍で違いを求めてはいけないと思うので。
世界を救うために主人公は活躍するのは映画ですから
主人公が世界を救うために、ワクチンを打って(臨床試験なんて当然無理なので、人体実験状態)、危機的状況に立ち向かう。
このあたりは、クライシス映画の鉄板なので、異論はありません。
それよりも、この映画を作るために、24億円も投資し、海外ロケを1年近く行った、角川春樹という人物の熱意こそが、ものすごい映画だったとう印象が残りました。
制作費・宣伝を含めて赤字でも、この作品を作ろうとした熱意がすごいものを感じます。
角川映画は、、その後、薬師丸ひろ子主演の『セーラー服と機関銃
現代のようなCG・デジタルな要素を使えるはずもなく、じっくりと使い、邦画なのに、外国人の出演者が多いので字幕が出まくるという不思議な映画。
邦画がチャレンジできるテーマとして、ここまで到達できた事実に感銘を受けました。
若手俳優・女優を使っての青春・恋愛モノや、ファンタジーで逃げるのではなく、クライシスに立ち向かう覚悟の映画って、ヒットはしにくいけど、メッセージ性は深いと思っています。
この映画後に、SF作家の小松左京さんは、有名な『日本沈没
ディテール(細かい点)について、批判をすればキリがないですが、当時のバブル期前の日本人が、作った大作映画としては、十分評価できるものだと思います。
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