池井戸潤書き下ろし『ノーサイド・ゲーム』を集中して読み切った

著名な作家たちは、雑誌などに連載した作品を発売するケースが多い。

そんな中、書き下ろしというスタイルで『ノーサイド・ゲーム』は出版され、同時にドラマ化されました。

2019年ラクビーW杯前の勢いをつけたドラマの原作をあえて1年後の2020年に読んでみました。

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勧善懲悪な水戸黄門をビジネスシーンで見せる天才、池井戸潤ワールド

池井戸潤の作品といえば、半沢直樹シリーズ『オレたちバブル入行組 (文春文庫)』『オレたち花のバブル組 (文春文庫)』 、『下町ロケット (小学館文庫)』『陸王 (集英社文庫)』などがあり、テレビドラマ化されてきました。(ほとんどがTBS)

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銀行、中小企業(大手企業)などを舞台に、旧態然たる悪を懲らしめていくことで、気持ちをスカッとさせるのは、ワンパターン。

最初のうちは、誰もが興奮していたものの、その暑苦しさに辟易している人もいるのは事実。

ただ、日本人が大好きな時代劇「水戸黄門」のように勧善懲悪は鉄板なので、現代版「水戸黄門」というカテゴリーに関しては、池井戸潤という作家は天才であり、高い人気を得られているのは当然でしょう。

虐げられて厳しい中で、なんとか正義が勝ってほしいという思いを抱えている

今回、『ノーサイド・ゲーム』を読んだのは、この厳しい状況の中で、明るい気持ちになるゴールが知った上で、浸りたい気持ちを抱えていました。

池井戸ワールドの予測ができる展開にあっても、会社だけでなく、組織を変革するために全力を傾けて、勝ち抜ける男の物語に感情移入をしたい欲求は、バブル後の平成という時代を生きてきた大半の人に共感できる物語なのです。

ただ、私は、ドラマ「ノーサイド・ゲーム」では厳しい感想をブログに書いています。

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明らかに、ラグビーのゲームや選手たちの場面が多すぎて、本来のビジネスの展開が印象として薄くなってしまったという印象が強かったと記憶しています。

当然、ラグビーW杯前の盛り上げ役としてのドラマとしての役目は十分でした。

この『ノーサイド・ゲーム』で取り上げられた日本蹴球協会なるものは、古臭い伝統に縛られた悪だからこそ、そこに挑む、主人公・君嶋の活躍はキラキラとしている作品として読ませていただきました。

「ノーサイドゲーム」では文章と映像の違いがはっきりした

ドラマと原作本の違いはどこにあるのかを掘り下げてみます。

著者の池井戸潤さんが『ノーサイド・ゲーム』という社会人ラグビーの世界を描きたくないという思いがあったという記事が記憶に残っています。(ネットでは見つけられず、私の記憶です)

おそらく、ドラマ化が前提で作られた書き下ろし作品に対して、反発したい思いがあったのではないかと勝手に想像しています。

なぜならば、集団で動くスポーツのシーンを文章で展開するのは難しいためです。

映像化すれば、複数の選手や場面を切り取って、双方の動きをリアルタイムな感覚で見せることができます。

ただ、文章、小説となると限界があります。

マンガや映像であれば見て分かることを言葉にするなんて実況中継としても文字では無理があります。

だって、伝説的なバスケットボールのマンガ「スラムダンク」が、もし、ノベライズ本になっても、ヒットしないと思いませんか?

ドラマと原作のズレは、ストーリーの一部に現れていました。

原作を作る上での苦労もあったでしょうが、映像化するには、体を張った演出のために、役者さんたちは本当に頑張ったことが伝わってきます。

相手のミスや弱点を見つけだして、勝利に行く姿は、スポーツとの相性がいい

ビジネスとスポーツは一緒では描けないはずなのに、池井戸潤さんは、見事に絡めながら展開させる能力を持っています。

大事なのは、完全なプロ化されたスポーツではなく、あくまでも社会人スポーツを取り上げることでバランスを取れています。

ビジネスとスポーツともに勝利を得るために、相手のミスや弱点を見つけだして、挑むというのがシンクロできることで成り立っています。

昔の「スポ根」ドラマなどの作品のように、選手や指導者・監督の無茶苦茶なまでの頑張りで乗り切るのではなく、相手を見越して、どう対応するのかという点は素晴らしいものがあります。

当然、スポーツも無償・無料でできる趣味ではなく、興行的要素が絡めばビジネスが存在しています。

スポーツ選手は、現役時代に、どれだけパフォーマンスを発揮して、結果を出すのかで評価が分かれます。

頑張った、頑張らないという泥臭さではなく、金銭が絡むことは現実では避けられないのが、トップクラスのスポーツ業界には明らかです。

道具、練習する場所、遠征費用などを考えても、世界で戦うには、スポンサーがいなければ、自分でクラウドファンディングでチャンレンジできるなんてことは聞いたことがありません。

とにかく、池井戸作品のビジネスとスポーツの相性良いのは、勝負を挑んで相手を倒して、心地よい満足感に包まれることが好きな人にはたまらないのです。

人生勝ち負けだけではないし、予定調和は嫌いという人には不向き

池井戸潤さんの作品が暑苦しくて嫌いというアンチがいるのも納得できます。

負けそうだけど、相手を叩きのめすことで勝つという喜びをもてないとしたら、楽しめないエンターテイメントです。

しかも、予定調和的な水戸黄門ワールドが、非現実的すぎると思ったら、嫌いになるのは当たり前。

世の中、正義が勝って欲しいけれども、実際は、力があるものが正義を振りかざしており、本当の意味での正義なんて、理想に過ぎないと諦めてしまうならば、ただの小説の向こうの世界だから、と冷ややかになるのも仕方ないことです。

苦しい現実の中でなんとかしたい!というマインドならば、池井戸作品は元気をもらえる

最後のシーンで、君嶋の天敵であった滝川が語った言葉にこそ、この小説の中で伝えたいメッセージを代弁していました。

「だが、もっと大きなところで、どんどん理不尽がまかり通る世界になっている。だからこそ、ラグビーというスポーツが必要なんだろう。『ノーサイド』の精神は日本ラグビーの御伽噺かも知れないが、今のこの世界にこそ、それが必要だとは思わないか。もし日本が世界と互角に戦える強豪国になれば、きっとその尊い精神を世界に伝えられるだろう。それこそが君に与えられた使命だ。」

『ノーサイド』の精神は日本ラグビーの御伽噺

まさに、御伽噺を信じないと、苦しい現実を突き抜けられないかもしれない。

あなたも、元気をもらいたい!と思ったら、池井戸作品を集中して読んでみることをオススメします。

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安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。