東野圭吾の人気シリーズ「天才ガリレオ」は、福山雅治のはまり役としてドラマ、映画ともにヒットしています。
最新作の映画「沈黙のパレード」は、コロナ禍で撮影をした作品ですが、出演者の演技も印象深く残るミステリー作品として仕上がっています。
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湯川学も年齢を重ねて教授になっている!時が流れた!
天才ガリレオシリーズの映画としては、「容疑者Xの献身」(2008年)「真夏の方程式」(2013年)に続いて、満を辞して映画が2022年に公開されました。
准教授だった湯川学もアメリカから帰国して、研究施設で大学教授という肩書きにステップアップしています。
前作から流れた時の流れの分、彼自身も物理学者としてステージを上げていたことになります。
壮大な実験を行うシーンが減ったのは、人々の関係性に焦点を当てたからでは
今までのガリレオシリーズは、ミステリーに物理学を加味するという、文系の世界に理系ワールドをミックスさせるという展開に振り切った点が特徴でした。
これは、容疑者・加害者や被害者という人物の感情を軸として物語よりも、トリックをより精緻なレベルに押し上げたという意味で、東野圭吾さんならではという原作の巧みさがあります。
ところが「沈黙のパレード」はどうだったのかというと、 今までの作品(ドラマも含む)ほどの、大規模な実験を伴ったシーンが少なく、地域の被害者周辺の人々の関わり、思いに軸がスライドしている点が大きく異なります。
湯川さんって、相手の心情を慮ることに興味がないタイプなのに、この展開は何?と思うものの、彼も地域の食堂でご飯を食べる一市民の顔があるという、非日常キャラの変貌部分が目立ちました。
つまり、ガリレオ(湯川学)の影が薄くなっていたのです。
むしろ、北村一輝演じる、草薙俊平・警視庁捜査一課 警部・係長の1つの人物・事件への長い年月の関わりに焦点が当たっています。
湯川と草薙は学生時代からの関係性があり、今まで事件を解決する度に、協力していた関係が少しだけ揺らぎそうになった印象の残る作品でした。
テーマ曲とともに数式のようなものを書くシーンがなかったから
今までとの違和感はどこなのか、と考えてみると、ガリレオシリーズで、湯川学がひらめいて、周りのものに、突然、数式のようなものを書いていく場面とテーマ曲という、固定のパターンがなかったことのインパクトが強いのではないでしょうか。
もしくは、一般人がやらないような意味がわからない専門的な実験が、事件の謎を解く上で、ワクワクするものなのに、今回は、この部分が薄味に仕上がっていました。
なぜならば、登場人物も多く、被害者と周りの方々の関係性が軸であり、こういう場面において、湯川学という人物がどう関わるのか、を描きたいと思った東野圭吾さんの新しいチャレンジの一端なのだと思います。
つまり、シリーズであっても、時代とともにアップデートされるということは疑いようがありません。
壮大なトリック・作戦を考える一般人たちが成功できるのか
ネタバレは避けたいので、今回のトリックのミソは書きませんが、関わる一般人が多い時に、このようなスケールの作戦は成功できるものなのでしょうか。
私個人の意見としては、早々に失敗するのではないかと考えます。
なぜならば、綻びが出やすく、1つのミスが連鎖してしまうことが予想されるからです。
今までも、犯人の些細な行動やミスが、謎を解くヒントになり、完全犯罪になり得なかったことが、大事なポイントとして描かれています。(「古畑任三郎シリーズ」も同様ですよね)
ただ、連携することによって、実行犯の存在をぼやかすという意味では、今回の作品は、最後まで誰が犯行を行なったのかが、見えなくて、引き寄せられる作品になっていました。
天才ガリレオが人間臭くなることは年齢の問題なのか
ふと気になったのは、天才ガリレオが当初のドラマシリーズ、もしくは、短編の作品として発表されていた頃よりも、ものすごく普通の人、人間臭くなっていることに変化を感じます。
これは、経験上の変化なのか、社会的役割なのか、年齢の問題なのか、それぞれが影響しているのでしょうか。
私は、奇抜なままの物理学者というキャラクターだけでは、読者や視聴者を引き寄せられないことに気づき、東野圭吾さん自身が、少しずつ変化をさせてきた主人公という扱い方にあるのだと思います。
個性的なキャラの主人公だから、常に何も変わらないという鉄板型のシリーズものもありますが(「相棒」の杉下右京のように)、徐々に変化を遂げるというスタイルの方が、より普通な感覚がしてきます。
その結果、天才ガリレオ・湯川学の存在と、福山雅治の演技がどうなっていくのか、は気になるところです。続編作品があれば、の話ですが。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。