『下克上球児』高校野球の甲子園出場は常連校の有望選手じゃなくても叶えられる!

高校野球の甲子園大会は、全国の頂点を目指して、必死に汗を流して戦う青春の輝きだという綺麗な話だと錯覚しているかもしれない。

実際は、有望選手を獲得した私立校同士がしのぎを削り、その後のプロへの道を目指す登竜門になっていないだろうか。

昔、高校野球って、予想外の無名の高校が甲子園に出場して、地域が必死に盛り上げるという夢物語だった頃がある、と思い出せるのが『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』です。

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ドラマ化「下克上球児」の原作本から

2023年10月スタートのTBS系日曜21時からのドラマ「下克上球児」の原作本だと知り、急いで、本を手に入れました。

タイトルからも、無名な高校が地方予選を勝ち抜いて、甲子園に出場するという物語なのは間違いありません。

また、鈴木亮平という人気のある役者を監督に据えてみるドラマに魅了される前に事実の話をインプットしたくなりました。

底辺校に通う自己肯定感の低い高校生たちの成長物語と監督

2018年夏の甲子園に初出場した三重県立白山高校は、過疎地域で荒れてる、偏差値的にも底辺なレベルで、おそらく、当時、話題になるまで全国的にも、三重県内でも無名な高校だったはずです。

中学校までの成績が低かったり、志望校に落ちて2次募集で仕方なく行く、高校のことを底辺校と呼ばれたりします。

劣等感や挫折を味わって、希望ではない学校に通い、しかも、交通も不便な田舎の学校。

当然、高校生たちが自己肯定感など高くなく、場合によっては早々に中退したり、問題行動を起こしてしまう姿は、昔から変わっていないのだと思います。

学校の地域にとっても、問題児、頭が悪いというレッテルを貼られてしまう存在に過ぎず、ある意味、青春を謳歌する若者たちの対極にいる存在。

そんな三重県立白山高校は、一時は部員が1名まで減って廃部寸前だった野球部の指導者になり、環境面から立て直したのが監督を務めた東拓司監督(体育教師)です。

彼が、グランドを整備し、選手(学生)に声をかけて集め、育て上げて、ついには甲子園に出場するという奇跡を起こした実話の物語です。

常連校スター選手予備軍の見本市な甲子園大会へのアンチテーゼ

いつからか、甲子園は、公立高校の出場が大幅に減りました。

有名私立高校で多くの選手を競わせて、レギュラーを勝ち取り、都道府県大会で優勝をしたチームたちの集まる、スター選手予備軍の見本市な甲子園大会になっています。

当然、必死に有望な選手をかき集めて、環境もお金も集めて、高校の知名度を上げることにつながります。

選手たちにしてみれば、中学生までに公式球を使うリトルリーグに在籍して、結果を出していた有望な面々を都道府県を超えてかき集めて戦うので、切磋琢磨に勝ちきれば、将来はプロ野球選手になれる可能性が見えてきます。

本来の高校野球大会として甲子園の存在は、地元の学生たちの地域の学校が勝ち上がり、全力で応援するという雰囲気でした。

無名校の知らない選手たちが必死にプレーする姿に感動をさせられた人たちによって支えられていたような気がします。

今は、プレーも含めてハイレベルな存在を称賛してしまう傾向があり、地味なまでに頑張って勝ち抜いたチームや選手を本気で応援するという姿は減りました。

それだけに白山高校のようなチームが甲子園に出場することで、高校野球の原点に戻れるような爽快感があります。

彼らは、ものすごく有能、優秀というわけではなく、ある意味、素行不良もあり、プレーもうまくない部分はあったことでしょう。

それでも、指導者の元、練習を重ねて、時間をかけてステップアップして、思っても見ない形で、第100回全国高校野球選手権大会の三重県代表として、甲子園に出場します。

自己肯定感の低い、やる気のない彼らを変えた東監督以下の指導者の努力もあり、感動を与えるとともに、本来の高校野球の魅力を思い出させてくれます。

無名の選手を集めたチームが勝つ魅力はチームスポーツならでは

実は、この第100回全国高校野球選手権大会は、あるチームが注目されてことを覚えているでしょうか?

秋田県の金足農業高校のエース、吉田輝星投手が活躍したことで、話題になりました。

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あの大会に、三重県白山高校も出場していたのです。

金足農業高校も、エースの吉田選手以外は、地元出身の無名の選手、高校生でした。

それだけに、大阪桐蔭との決勝では、実力差があるのはわかっていても、金足農業を応援する人たちが多かったような記憶があります。

勝負は時の運もありますが、無名の選手たちが集まっても、甲子園に出場できる、決勝まで進めるという、貴重な事例でした。

チームスポーツにとって、全員をハイレベルなメンバーを揃えて戦うのは無理があり、総合力や運を引き寄せて、弱者であっても勝てるからこそ、地元関係者も必死に応援できるのです。

監督よりも、彼を信じて付いていった高校生が素晴らしい

下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』を読んでいくと、東監督の存在も大事にしつつ、選手一人一人のキャラクターに掘り下げられてる点が目に付きます。

もちろん、優秀・有能な監督がいなければ、甲子園出場はできなかったでしょうが、監督だけでは成し遂げることができませんでした。

実際に、プレーする高校球児たちが、目の前のことに夢中になり、自信を身につけて、成長させたことに価値があります。

おそらく、白山高校の選手たちは、選手層が薄い中で、対外試合を重ねて、実践経験を積み上げさせたということに注目すべきだと感じます。

単純な基礎練習をやるだけでなく、本番に向けた準備として試合勘を磨いたことで、彼らは、ミラクルを引き寄せました。

きっと、甲子園出場という経験は、彼らの人生にとって、貴重な資産として自信を持って生きる糧になっているのだろうと期待したくなります。

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安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。