ブラック企業からは逃げ出せばいいのだろうか?『ワタミの失敗』を熟読してみた

カリスマ経営者・渡邉美樹氏のもと、やる気に満ちた幹部や社員たちの「善意の会社」がなぜブラック企業となったのか?

ブラック企業問題の専門コンサルタントがワタミの現場を詳細に調査、分析しブラック企業にならないための方策を解説をしたのが、『ワタミの失敗』(新田龍・著)です。

私自身、この本を熟読しながら考えてみました。

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「ブラック企業」だからといって全ての社員がいなくなるわけではない!

ワタミといえばブラック企業という印象がついたものの、経営が苦しくなったり、業態を変えながらも、生き残っています。

ブラック企業と言われから、社員が全員いなくなり、潰れるということではないのです。

つまり、「ブラック企業」でも働き抜ける人間がいるということを忘れてはいけません。

ワタミが「ブラック企業」になったのは、社長のワンマンが理由なのか

2013年〜2014年、世間からワタミはブラック企業批判にさらされました。

創業者の渡邉美樹氏が国会議員になったことで、批判が集中しました。

また、2013年には、ブラック企業大賞という不名誉なレッテルも貼られます。

この背景には、2008年に入社3ヶ月目の社員の自殺と、2012年の神奈川労働災害補償保険審査官による、長時間労働による精神障害が原因とされた、労災認定が背景にあります。

あんてる
あんてる
運営主体は「ブラック企業大賞企画委員会」が2012年からスタートさせたのが「ブラック企業大賞」だって、知ってましたか?

渡邉美樹氏や経営陣が、労基法を遵守せずに、オーバーワークを強いて企業経営をしていたことは明らかです。

だからと言って、経営者のワンマンだけが理由とは言えず、コーポレートガバナンスも不足していたことと、すべての社員(アルバイトも含む)に成長を強制した環境に問題があったのだと思います。

社会通念上、許されない職場環境・働き方はなくせるのか

1日の労働時間も、1週あたりの労働時間も、健康で安全な日常生活を送れないほど、拘束されてしまうのは、許されるべき労働環境ではありません。

ベンチャー企業でも、モーレツに働くカルチャーの会社でも同じです。

負荷をかけなければ企業の成長はないと考えているとしたら、人間性を無視した経営だと非難されて当然です。

でも、この手の「ブラック企業」な環境は、なくなりません。

経営者・労働者ともに意識と行動を変えて、生産性を高めつつ、働き方をアップデートしてない限り、本当の意味での生き残りはできないのではないでしょうか。

残業代の未払い(不足分)を一括でもらったことがある

「ブラック企業」といえば、残業代の未払いという問題が着目されることがあります。

私も、業界の中で、残業代未払いが騒がれて、訴訟になった影響を受けて、自分の所属している会社も、まとめて残業代を一括で支払うというウルトラCの現象に遭遇しました。

過去半年分の本当の勤務時間を記載させた勤務表を提出し、実際に支給された45時間分を超過した残業代が振り込まれた時は、びっくりしました。

あんてる
あんてる
なんなんだ!この臨時特別ボーナスみたいな金額は!こんなに未払いだったのか!

正確にいえば、半年より以前の超過残業の未払い分はいただいていません。

この時、お金を支払ってもらえた喜びよりも、こんな働き方を将来に渡って続けるのは良くないと、自らも反省したことを覚えています。

「ブラック企業」と「ホワイト企業」の間の「グレー企業」が大半だ

「ブラック企業」だとわかったら、早々に退職して、転職をすればいいという考え方をする人も増えたことで、離職率を気にしながら、経営者・人事部門が大幅に組織や環境の改善に努めるようになりました。

だからと言って、「ブラック企業」がこの世から消えたわけではありません。

「ホワイト企業」が、経営として成功して、倒産せずに存続できるという確証もないのです。

世の中の会社の大半が、「ブラック企業」と「ホワイト企業」の中間の「グレー企業」だと私は考えています

黒が濃いグレーなのか、薄いグレーなのかのグラデーションはあるものの、この中間に位置する企業のなかで、一人一人が一生懸命に働いているのだと。

「ブラック企業」とレッテルを貼られないように、企業経営者も顧客や売上だけでなく、従業員のことをしっかり見てあげてほしいものです。

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安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。