転職するのか、独立するのか、と悩むビジネスパーソンは増えています。どの働き方が正しい、間違っているというものは存在しません。働き方を自由で多様に選べるようになれたら幸せなのではないでしょうか?
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転職と独立の選択に迷う人が増えたのは、終身雇用が崩壊の証拠
転職情報誌が世の中に広がるまでは、離職すれば職安を中心に仕事を探していたと聞いています。もちろん、いつの時代も縁故・知人の紹介での転職というのはありましたが、レアケースと見られていました。だから、日本は終身雇用だったのだ、というのが、私たちのすりこまれた日本の雇用史です。
最近は、新卒で採用されても、3年以内に退職・転職する人材も増えています。少しでもブラック企業だと感じれば、躊躇なく次の職場を探しますし、人間関係に縛られて転職を見送るという話も聞きません。
一方で、転職天国というわけではないという話も事実。元の職場が実は居心地が良かったことに気が付くケースもあり、社風や文化と合わずに、次から次と職場を変える人たちは、最後は独立起業の道を歩む人も増えてきました。
やりがい、自由度、自分の力を試すという意図で、独立起業・フリーランスになっていく人たちが1000万人を越えているという情報もあります。
※フリーランス人口においては、前年と横ばいで1,119万人、人口に占める割合は17%となりました。(「フリーランス実態調査2018年版」 ランサーズ社調べ)
日本型雇用と言われる終身雇用は、既に崩壊しているのです。特に定年間近の方でなければ、ミドル以下のビジネスパーソンで終身雇用を信じているのは、一部の公的機関で働く方ぐらいではないでしょうか。
6人に1人の割合でフリーランスがいるという話が事実ならば
労働人口の17%ということは、6人に1人はフリーランスとなります。
これは、電車内で一列に座っている中で1人はフリーランスの人がいるという割合になります。予想以上に多いと感じませんか?少ないと感じますか?
私は、「サードプレイス メルマガ」のインタビューで色々な方と話をしながら、組織に属して働く人(従業員型の労働者)と、経営者(1人会社もあれば、小規模ベンチャー企業などが多いです、大企業の方にはインタビューはできていません)、さらに個人で仕事をこなしていくフリーランスの方と、様々な方のお話を聞いていきました。
個人事業主でやるのか、法人として取り組むのかは別として、組織に依存しない生き方をしている方は増えている感覚があります。
守ってくれる組織がないだけに、完全に個人の力で生きていく、仕事をするという道を選ぶ人たちは、苦労は多くても、なかなか素敵な話をしてくれます。
好きなことだけをして働こうという流れは、明らかに、正規雇用である正社員で雇われる生き方へのアンチテーゼです。
フリーランスはバラ色な働き方・生き方なのか?
組織に縛られない生き方で、自分の得意なこと、好きなことだけに集中するのだから、フリーランスは素晴らしいと言えるのだろうか?
正規雇用側の立場から見ると、不安定さ・不確実さに対して心配だという声が上がります。
仕事量がコントロールできないという問題。増えすぎて仕事量がこなせないのも問題ですし、枯渇すれば生活が苦しくなります。特に、健康問題として、体調を崩したり、長期入院に至ったら、保障が何もないというリスクについては、誰もがうなづく話です。
でも、実際、美容院・床屋・飲食店などで個人経営をされている方であれば、同じようなフリーランスと同程度の立場だと言われています。
不安定さ・不確実さを補うために、競合と比べた工夫を施したり、マーケテイング的な発想を用いたり、複業(何かと何かを組み合わせる仕事スタイルや、複数の仕事を抱えること)で生きているのです。
バラ色とは言えないまでも、飽きないで生きるスタイルなのは確実です。
私の父は転職歴豊富な人間だったが不幸せではなかった
あなたの身の回りで転職を繰り返す人はいないでしょうか?
私の亡くなった父も、私が生まれてから2回は転職していました。その前は、定職が安定しなかったことが社会保険の履歴を調べてわかりました。当時は未加入する事業者は少なかったのか、履歴の多さには驚きました。
昭和前半までの世代は、1社に安定して働く人も多かったものの、私の父のように、安定せずに転職を繰り返す人も結構いたのです。終身雇用を守れないのは企業が存続できず、倒産するような中小企業が多かったのと、職場の人間関係が理由だったと、聞いたことがあります。
当然ながら、失業することもあり、今でいうブラック企業(当時のブラックとは、おそらくオーナー企業的な要素が強いと思いますが)にも勤めたことがあったそうです。
いろんな会社、仕事をしたことに後悔はないと亡くなる前に話を聞いたことがあります。
自分のキャリアや資産を築くという意味では理想的な生き方ではなかったものの、好きな煙草を吸って、空腹にならない程度に食べて、どうしても嫌ならばケンカしても仕事を辞めて。
ここまで自由な形で転職を繰り返す人はいないかもしれません。
転職することがキャリアアップや年収アップで理想的な生き方という広告の売り言葉を信じてもいけないでしょう。
組織に属して働くということは、構成する顔ぶれ、業界・業務の流れ、自分の役割など変化を受け入れながら、同僚や上司・部下と一緒に働くわけです。
昔のように、ウェットな付き合いを望む人も減っているわけで、お互いのプライベートも知らないで働くことは普通なことになっています。
転職を繰り返す、フリーランス、起業するでもない働き方が、複業・兼業スタイルにある
終身雇用が存在しないから、転職を繰り返す、または、フリーランス(個人)や起業するという働き方を選ばなければいけないのかというと、答えは別のところにあると思います。
大正時代に、勤め人としてのサラリーマンが生まれるまでは、日本は複業なワークスタイルが普通の社会でした。季節や時期によっては、自分のメインの仕事をやり、閑散期になれば、他の分野を手伝う、本業が何かという意味で過ごしていなかったと言います。
1つ1つの仕事から得られる収入は多くなくても、複数の仕事をこなす。晴れた日は畑や田んぼを耕し、雨の日は家の中で小物を作る。知り合いに頼まれれば、ちょっとした仕事も手伝う。(金銭ではなく、食事を食べさせてもらう形で満たされることもあったと言います)
働き方改革とか、副業解禁の目指す、本来のゴールは、1人の人間が複数の生業(なりわい)を持つ働き方を尊重するという生き方なのだと考えます。
正規雇用として雇われていても、空いた時間には趣味の延長でできるような仕事を手伝う。オフィスワークで運動不足だから、仕分けやポスティングや荷物を運ぶ仕事をやる。ジムに通うよりも価値があるかもしれません。
くれぐれもオーバーワーク(ハードワーク)になるような複業をしてはいけません。
副業解禁よりも、複業エンジョイ、な働き方を目指していきましょう。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。