IKEAとニトリという家具の小売業界の2社を比較する
2018年10月18日(木)の夜、第5回「ケーススタディーで学ぶマーケティング勉強会」を主催・参加しました。
家具の小売業界をしっかりと見るのは、自分が欲する家具や、引っ越しのタイミングが中心であり、頻繁に購入する日用品とは異なります。
今や、Amazon、楽天、メルカリなどで新品・中古共に簡単にモノが便利に買える時代。
スマホで見て、ポチッと購入できないものもあります。高額商材として、住宅・車などは実際には目で見て、触れてみないと納得できません。
家具もサイズや目的によりますが、寸法も含めて、買い直しを何度も気軽にする商品ではありません。事前リサーチはネットで調べるとしても、最後は店舗で確認をする方が多いもの。
参加者を2チームに分けて、2社をじっくりと比較してみました。
IKEAって、どんな特徴がある?
まずは、IKEAから考えてみます。
郊外に大型店舗として構え、家具を使う対象者に向けて、モデルルームのように提示しています。独身者、若いカップル、小さな子供のいる家族。
おしゃれで見せる家具。誰かが家を訪れても楽しい雰囲気が伝わるようなラインナップ。
IKEAで家具を買うような顧客は、ライフスタイル重視の傾向があるという仮説を立てました。
しかも、通路の道順を決められるような店舗運営。途中で終えることができるものの、入り口から出口まで見て回るのは、ルートを完全に決められているパック旅行のようなものです。
また、世界各地にも展開しているIKEAだけに、信頼感があります。
一方で、弱みとして、家具自身の強度(丈夫かどうか)には疑問が残ります。大型家具を一生モノと捉える人には向いていないということになります。
オンラインショップもあるので、希望すれば、家具を見て、実際の注文や発送はオンラインでという対応ができます。
ターゲットは、自宅を便利な機能面で考えるよりも、おしゃれな空間として過ごしたいタイプの方に、IKEAはフィットするのです。
お値段以上、ニトリはどうだろう?
CMのコピーとしても耳に残る
「お値段以上、ニトリ」
というフレーズは誰もが知っていますよね。
高価格ではない値段で、思った以上に良い家具を手に入れられるニトリ。
商品単位で色・サイズなどを幅広く取り揃えて選べるスタイルです。
参加された方が「ユニクロのような」という表現をされたのが強く印象に残りました。
ニトリは全フロアを楽しむというよりも、日常の延長線にある、欲しいものを買える身近な場所に店舗があります。全国で500店舗以上あるので、ショッピングモールの片隅で必ず目にするようになってきています。
色々なものを買いに行く中に家具もある、見てみようという方をターゲットにしています。
そして、価格と商品レベルのギャップに満足することを価値として提供してくれています。
ニトリの弱点は、本当に自分に欲しいものが見つかるかどうか、という点だと思われますが、無難に機能を持った家具を購入しやすい価格で用意できれば、ニトリの顧客は満足してくれそうです。
今後、家具の小売業界はどうなるのか?
2社のマーケティング戦略の違いを把握して、発表する形で勉強会は終わりました。その後の懇親会も楽しいものになりました。
根本的問題として、家具の小売業界はどう変わるのかということを掘り下げて考えてみます。
民泊やシェアハウスの流れは、所有よりもシェア・共有の時代です。
どんなに家具が大好きであっても、高額なものを揃えることで満足するような消費者は減っています。家具は、いつかは劣化して、壊れるもの、もしくは、飽きてしまうものという前提があります。
もし、レンタル家具(賃貸物件やマンスリーマンションなどに付随する家具などをイメージ)で十分目的を達成できる方も増えています。
また、プチDIYのように自分で好みのパーツで作り上げる人もいるでしょう。
となると、家具はライフスタイルを投影するものであり、機能的であることとのバランスを元に個人が判断しています。
家具はリサイクルショップなどでも良い商品が手に入るということからも、しっかりとメンテナンスして入れば長期的に使用できるというメリットがあるのも事実。
日本は人口が減り、各家庭内にある家具の点数も減るのは間違いありません。一人で暮らす個人が増えても、モノを大量に抱え込まないライフスタイルがスタンダードになると、家具はコンパクトで十分な役目を果たします。
もしかしたら、AI搭載の家具が生まれる日がくるかもしれません。たとえば、気温や予定などをもとに衣装をコーディネートしてくれるAIクローゼット。食事のメニューや食べる相手を考慮してくれるAI食器棚(Cupboard)。
ここまでくると家電と家具の境目がなくなってきますが、どう考えて、楽しめない未来かもしれません。
空想・妄想もたまには必要です!
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
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