老舗和菓子屋 船橋屋の経営者、渡辺雅司さんが書いたビジネス書『Being Management 「リーダー」をやめると、うまくいく。』は、今までの経営者本、リーダー論とは大きく異なっています。これでいいのだ!とあなたも思えるようになれる一冊です。
実際は、どのような取り組み方、考え方、組織体制などによって変化してきたのでしょうか。
くず餅で有名な船橋屋が、これからの時代に向けて、どんなチャレンジをしようとしているのかもわかります。この人気本を読んで、エッセンスをまとめました。
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「これでいいのだ!」のスタンスが「べき」論者を超える
「元祖くず餅」船橋屋代表取締役社長・8代目当主の渡辺雅司さんが本を出版する!
私は、この情報を得た瞬間、ものすごくワクワクしました。
2018年11月1日に放映された「カンブリア宮殿」での渡辺社長の話に共感を持っていたので、一度、詳しく話を聞いてみる機会が欲しいと考えていたからです。
手にとって、冒頭に書かれていたのが、天才バカボンのパパの言葉でした。
これでいいのだ
経営者や組織のリーダーは理想を掲げて、こうあるべき、というスタンスで全体をリードしようとします。
高尚な理想であっても、現実とのギャップが大きいと誰もが、納得しきれずに本音と建前を使い分けるようなスタイルになりがち。
本当の意味で幸せな環境とは言えません。
この渡辺雅司さんの『Being Management 「リーダー」をやめると、うまくいく。』の全体を通して伝えたいメッセージこそが「これでいいのだ!」だとわかります。
理想すぎる話だと疑う前に、新卒1万7000人が応募する事実を受け止めよう
時代が変わろうとしているとはいえ、今の日本は新卒採用が企業の力を測る一つのバロメーターです。
大手企業・人気企業であれば、恐ろしいほどのエントリーシートが集まります。
昔のように、学生をレベル分けして応募の窓口を分けることができないので、とにかくエントリーだけは多く集まります。
一方で知られていない企業、人気のない業界、ビジネスの姿がよく見えないベンチャーや中小企業は、採用に大苦戦中です。
「下町のくず餅屋」である船橋屋さんも、かつてのイメージであれば、新卒が大挙して応募して来る企業というイメージはありませんでした。(私も就活した頃に全くのスコープから外れていました)
今や、新卒が1万7000人も応募して企業に成長しているというのは驚きでしかありません。
つまり、若者が働きたいという企業として評価されているという点に着目できます。
・SNSなどのマーケティング戦略・若手にチャンスを与える社風
・「ワンピース」型のチーム作り
・「幸せ」優先で「結果」をだす人材開発
・「職人技」を数値評価
・従業員からのフィードバックに真摯に向き合う経営
これらについてまとめられた素晴らしい一冊です。
子供の頃の私が知っている船橋屋さんとは
私は、親戚が船橋屋の地元にいただけに、何度か、船橋屋の本店に足を運び、くず餅などの和菓子を買った記憶があります。
いかにも、下町出身オーラ満点の店員さんたちだった記憶がうっすらとあります。
この地域らしいと言えば、それまでですが、亀戸天神のお参りのおかえりに買って帰る程度の存在だったと言えます。
美味しいけど、2日しか日が持たないってどういうことなんだろう。
日持ちがしない食べ物なのかな?この船橋屋のくず餅って、と疑問に感じていました。
とにかく、他の人に勧めるほどのバリューは持っていなかったと思います。
デパ地下、駅ナカで売られる「船橋屋」のくず餅や和菓子たち
私自身、イメージが変わったのは、デパ地下や駅ナカ(構内)で、船橋屋の商品が売られることを目にする機会が増えるようになってからです。
店舗や販路拡大を目指していた7代目経営者、渡辺雅司さんの父親の経営方針が伝わってきました。
ただ、おそらく、それだけでは、「船橋屋」の知名度が上がるはずはなかったと思います。
それだけに、この本を読み進めると、現在の「船橋屋」の真実を知ることができます。
当初、8代目・渡辺雅司さんは、従業員との関係も経営もうまくいかなかった
カンブリア宮殿の番組や、この本『Being Management 「リーダー」をやめると、うまくいく。』にも取り上げられていますが、新卒で銀行マンだった渡辺雅司さんは、船橋屋の経営を切り盛りしていくために、奮闘されました。
ところが、従業員との関係性はうまくいきません。
職人や古参の社員たちとの軋轢は、言葉にできないほど大きなものがあったことが想像できます。
経営者として、苦しみ悩んでいく中で、「〜べき論」を捨てていきます。
そこで、経営理念を見つけるために、原点に立ち戻り、「関わる全ての人を幸せにする」という思いを掲げて、自然のままで行こうと決意をされます。
売上や成長ではなく「幸せ」を経営目的とされるという決断こそが、船橋屋の成功に寄与してきたのは間違いありません。
ここまでを読むと、ただの理想論を掲げているにすぎないと感じる読者は多いと思うのですが、最後まで読み進めると、ものすごい変化、イノベーション&マーケティングという力を持っての改革だったと納得できます。
「ワンピース」なチーム作りを目指す
今までの経営者のイメージがカリスマであったり、グイグイと社員を引っ張る強い存在であることが普通でした。
この場合、シンパで固められれば組織はうまくいきますが、今の時代、多様な価値観の人間が増えている以上、この古いスタイルでは成功が確約されるわけではありません。
社内選挙で、33歳の女性社員をNo.2に据えるという決断。
もちろん、現役員の佐藤さんが素晴らしい能力と人物であることは、私が多少なりともSNSなどを通して知っているので当然だと思います。
ただ、ベテラン社員も多い社内で、この決断を進めていくと、軋轢が大きかったのは否めないでしょう。
だからこそ、社長が不在でも「船橋屋」が安泰な状況を作り出すために、オーケストラのコンマスのような存在として彼女に役割を与えたという話には驚かされます。
さらに、No.2だけに依存するのではなく、その周囲に「語り部」というキーマンを育成していく運営力はさすがです。
「社長がリーダーシップを発揮しすぎると、組織は疲弊する」
漫画『ワンピース』のルフィがリーダーシップを発揮しない「麦わらの一味」を実践する経営スタイル。組織運営をされていることがわかるだけでも、この本を読む価値は十分にあります。
幸せ重視で結果を出す、職人技を数値化する、今までの常識に縛られない社長
「幸せ経営」を掲げる企業は、少しずつ増えています。
ただ、実際に、従業員全てが幸せを感じるのか、と言われると微妙です。
働き手の価値観が多様化しているのだから、難しくて当然なのです。
大事なことは、幸せを追い求めた先に結果が伴うという、従来の考え方とは順番が逆に感じる点です。
おそらく、一人一人の従業員の求める幸せは異なるはずです。
個人の幸せを尊重することで、やり甲斐や働き甲斐を見出していく。
言葉では簡単でも、現実としては大変な取り組みです。
もう一つ、職人技を数値化するという、物凄いことを成し遂げている話。
おそらく、渡辺社長と職人の間には、軋轢が多かった関係性だったのではないでしょうか。
そこに、職人技を計測・評価する制度を設計、運用する。
結果として、職人が受け入れて、成長を促していると言います。
これらの施策が、船橋屋の躍進の土台を支えたことは間違いありません。
SNSを使った老舗の和菓子、くず餅屋はTwitterドラマまで展開
老舗和菓子屋とSNSの組み合わせは、もし、当事者が思いついたとしても上手くいかなそうなイメージが浮かびます。
SNSを何のために、誰にどう届けていく情報にして、どんなコミュニケーションを期待するのか。
この設計が見事で、若者や船橋屋の存在を知らない人々との接点を生み出す。
今までも、様々な切り口を展開されてきましたが、Twitterドラマまでチャレンジして成功させるのは秀逸としか言えません。
なぜ、Twitterでドラマでプロモーションを行ったのでしょうか。
ただの動画配信ではなく、拡散力も含めた狙いがわかってくると、船橋屋のマーケティング力の高さが見えてきます。
深い戦略と設計をしながら、丁寧に運用されるSNSマーケティング手法は、他の企業担当者も注目しながら、分析するベンチマーカーと認められる存在です。
船橋屋の「くず餅乳酸菌®︎」の存在と秘話に涙する
ビジネス書でありながら、思わず、私は泣いてしまいました。
関東大震災と東京大空襲の中でも、必死にくず餅の原料「発酵小麦でんぷん」を守った、5代目の妻、曽祖母、みえさんの話に胸を打たれました。
彼女が必死に、守って踏ん張っていなければ、現在の船橋屋はなくなっていたのかもしれません。
彼女の守った「発酵小麦でんぷん」のなかに「くず餅乳酸菌®︎」が秘められていたということは運命としか言いようがありません。
この「くず餅乳酸菌®︎」がサプリや機能性表示食品などへ展開されていくことで、健康増進を推し進めていく企業に変貌を遂げていくのだと期待したいと思います。
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まとめ:Benigを大切にする経営・生き方
これでいいのだ!
高い理想や目標を無理やり立てて、突き進まなければいけないという思考とは違う、今、ここに集中していくという、Beingのスタイルが私たちの生活を支え、変えていく基本軸になれば、日々苦しい思いで生きている人を救う、きっかけになるのではないでしょうか。
是非、船橋屋の「くず餅」を食べながら、『Being Management 「リーダー」をやめると、うまくいく。』を読んでみませんか?
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
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