人類を「ホモ・サピエンス」という一つの種として考えてみる

人類学者は、我々と時間軸が全く異なる存在です。

彼らの考え方に従えば、我々の日常の時間なんて、ごく小さなものに過ぎません。

また、人種や国による違いなんてものも、ホモ・サピエンスとして1つならば、差がないという事実を突きつけられる『人間らしさとは何か : 生きる意味をさぐる人類学講義』(海部陽介・著)を読んでみました。

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人類が誕生するまでの長い時間の歴史を探ってみると見えてくるものがある

ホモ・サピエンスを「グローバルな霊長類」に押し上げたのは、総じて新たな可能性を生み出す創造力と、そこから膨らんだ冒険心だったと思われます。

このフレーズを見て、我々人類は、創造力と冒険心を失ってはいけない存在なのだと思い知りました。

とてつもなく長い時間をかけて、猿人、原人、旧人、新人と分岐しながら、ホモ・サピエンスという種になり、地球の支配者になってきた歴史の長さを深く感じることなんて、日常生活を送っていると忘れがちです。

人類が登場するまでの歴史の時間の長さ

人類進化学者の海部陽介さんの『人間らしさとは何か : 生きる意味をさぐる人類学講義』は長年の知識・知恵が溜まっている一冊です。

霊長類の長となるまで、長い時間をかけて進化を遂げてきた我々の祖先。

この時間の長さをさらっとまとめているものの、森の民から、サバンナに降りて、道具と使っていくまでの変化があって、我々、ホモ・サピエンスは、脳の機能を成長させてきました。

【目次】

はじめに 人間は人間をどう捉えてきたか

第1章 人類が登場して地球はどう変わったか

第2章 ヒトとサルはどう違うのか

第3章 進化はどのように起こるか

第4章 地上を歩きはじめた最初の人類――700万〜140万年前

第5章 原人と旧人が問いかける人類にとっての脳――250万〜4万年前

第6章 わかってきたホモ・サピエンスの成り立ち

第7章 ホモ・サピエンスが多様であることの意味

第8章 改めて人間らしさを考える――私たちはなぜわかり合えるのか

目次を見てもわかる通り、時間の長さの中で、変化を遂げていくプロセスを理解できました。


ホモ・サピエンスは1種類の存在!民族・国の違いを乗り越えよ

この本の中で、下記の部分に興味を惹かれました。

これまで旧石器人と現代人の本性はさして違わない、つまり過去数万年間に人間らしさは事実上変化していないという説明をしてきました。  そう考える根拠は、「現代人に共有されている性質は旧石器時代のアフリカにいた共通祖先に由来する」とのダーウィンも述べていた原則、および「現代人の遺伝的多様性が乏しい」ことにあります。一方そうであるなら、「私たちの身体と心は、基本的に旧石器時代におけるアフリカでの狩猟採集生活に適応するようデザインされてきた」ということにもなります。

旧石器人と現代人の本性は変わらないと言っていいのだろうか、と。

DNAとしての差が少ないとしても、明らかに環境も世界観も違うと言わざる得ないでしょう。

ホモ・サピエンスとしては、肌の色、民族、国家など関係なく、1つの種として成り立っているという話は、多様性を求める時代のなかで、本質は1つのものであるという、深いメッセージに感じました。

道具を武器にして戦いあう歴史を無視できない

とは言いつつも、世界史・日本史を振り返れば、人類同士の争い、戦争はなくなることはありませんでした。

権力者同士の戦い、宗教をめぐる争い、様々なものを繰り返しつつ、道具である武器が発展することで、お互いを殺し合うという姿。

野蛮さを失い、心や脳を成長させてきたはずの人類として、この流れを止められない理由は不思議でなりません。

自分たちの生活を便利にするために、着実に工夫を続けてきたのに、いがみ合うことを防げないのは、どうしてなのでしょうか。

適者・強者生存という種の進化にある原則が導いている力だと考えてしまっても良いのかもしれません。

人類誕生の歴史は、未解明な部分が多いロマンが残る

多くの学者たちが研究・調査を続けてきた結果、人類誕生の歴史を紐解こうとしてきたのは事実。

ただ、未解明な部分も多く、そこに謎とロマンが残っています。

タイムマシーンでもできない限り、100%の解明はできないのは言うまでもありません。

時間をかけて成長してきたときの流れを考えれば、仮説中心で、人類進化の歴史を探ろうとするアプローチは、正解かどうかはわからなくても、私たちのなかで、今、生きている意味を教えてくれます。

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私たちが知っている歴史というのは、勝者側の目線で作られている物語かもしれません。反対側の敗者の立場で物事を考えると、全く違うものが見えるかもしれません。冷静に事実を知ってみようと思いませんか?

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。