東野圭吾の直木賞受賞作『容疑者Xの献身 (文春文庫)』は、本格派ミステリー愛好者からは賛否の論争があったものの、作品としては、天才物理学者・湯川と対峙する、数学の天才だった高校教師の石神の関係性をベースにしているやりとりは、異次元で面白いものだと感じたのではないでしょうか。
当然、映画化された『容疑者Xの献身』は、主演の福山雅治、共演者の堤真一と、松雪泰子、柴咲コウなどの面々により、しっかりとした作品に仕上がっていました。
たびたび、私も、Amazonプライム・ビデオ で見てしまう作品です。
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暗い印象の堤真一の存在が不可欠な作品
東野圭吾のガリレオシリーズは、天才物理学者・湯川学と対峙する相手が重要になります。
この『容疑者Xの献身』では、大学時代にお互いを認め合った、数学の天才、石神哲哉を演じる堤真一の暗そうな高校数学教師の雰囲気が欠かせないものでした。
「君は、いつまでも若々しくていいなあ」とつぶやくのに、設定上は、38歳。
完全に主役を食う演技があって、この作品は成立しています。
トリックはバレーボールの時間差攻撃のようで、数学の難問のからくりに似たもの
東野圭吾作品だけに、登場人物が増えすぎることなく、トリックを掘り下げていくスタイルは、他の作品と変わりません。
ネタバレは、避けたいので、今回のトリックは、「バレーボールの時間差攻撃」のようなものだったとだけ伝えておきます。
最後まで見たり、読んでしまえば納得の展開ですが、鉄壁のアリバイを作り出したのが数学者のひらめきだったかと思うと驚かされます。
数学の難問は、錯覚的なことを見つければ簡単に解けるという言葉をヒントに残すあたり、実に見事に仕込まれています。
2人で山に登るシーンが最高だけど不自然
最初に、映画館で見た時や、原作本を読んだ時に、なぜ、湯川と石神は一緒に山に登ったのだろうという不自然さがありました。
2人とも体力派よりは、頭脳派な設定。
とても、あのようなハードな冬山に登れそうなキャラクターではないのに。
ただ、2人だけの時間を過ごすには、あの登山の場面は必要だったのでしょう。
ある意味、最後の思い出としてのシーンです。
元夫が厄介な存在って、よくある話かも
今回、殺害された富樫慎二(長塚圭史)と言う、別れた元夫が厄介な存在という展開。
ここまでは、特別な話ではなくて、別れた後も付き纏われる関係性って、聞いたことはあります。
未練なのか、依存なのか、よくわからないですが、人間として破綻している部分を持っていると、家族や周辺の人は大変な思いをします。
だからと言って、相手を殺害して構わないという理屈にはならないのですが、こういう人物を更生させるには、どうすればいいのか考えさせられます。
暴力や付き纏われて嫌がる女性、花岡靖子を演じる、松雪泰子さんの佇まいがなんとも言えず、引き寄せられました。
天才だからってなんでも許されるのは変だよね
大学の物理学の准教授に事件解決を助けてもらうのが、このガリレオシリーズの根幹をなす部分です。
一般の刑事物やミステリーとは違うのは、湯川学というキャラクターに依存します。
今回の『容疑者Xの献身』では、流石の天才でも、取調室で勝手にサシに話すシーンは、逸脱感しかありませんでした。
誰かが始末書とか処分されないと、許されないのではないかと感じました。
全体としては、俳優の演技もストーリーも満足で、何度も見れる作品なのですが、所々、引っかかってしまうのは、私の悪い癖ですね。
ガリレオ作品に出てくる、身代わり的な献身行為は嫌いじゃないですが、私には無理です。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。