堀口 英太郎さんの読書会で『劣化するオッサン社会の処方箋』の一冊と向き合う

読書会に参加したことありますか?

読書会に参加したことありますか?

読書会って良いですよ!

読書って、1人で1冊の本と向き合う時間です。著者と自分の対話だという、かっこいい表現を述べなくても、結局、自分と本だけの世界です。

私は、読書したものを自分ゴトにしながらも、ブクログやSNS、ブログに感想や自分の考えを交えてアウトプットしてきました。

これは、自分が学んだことや考えたことをアウトプットして残しておくことが最大の目的です。さらに、私の書いたものを読んだ人が、その本を読んだり、著者やテーマに興味を持ったりしてくれたら嬉しいという、あくまでも個人として自由にできる活動。

昨年から、時々参加するようになった、読書会は、集団で読書に関するコミュニケーションを行うためのイベントやグループです。

明らかに今までとは違います。セミナーや勉強会などと同様に、その時、その場所に行き、一緒の本やテーマについて自分が話をしたり、相手の話を聞くという双方向とライブ感が生まれるからです。

読書会の種類は様々

読書会の分類を調べてみると、いくつもの種類があることを知りました。

輪読会式、研究会式、発表会式、など、特定の書籍を読んで進めて行くやり方。事前にしっかりと本を読み込み、アウトプットする準備が必要です。

つまり、課題の本が読み終わらないと参加できないというハードルがあります。いわゆる、宿題を仕上げないと参加できない前提になります。

切り口を変えれば、同一の本を扱う読書会、同一のテーマの本を扱う読書会、参加者の自由な本を扱う読書会、などに分けることもできます。

本を読んで、コミュニケーションをとるというのは経験してみないとわからないことがたくさんあります。

・同じ本を読んでも受け取り方は人それぞれ

・同じ本のポイントに対する意見も賛否、異論が色々

・同じテーマの本を読んでも、類似と相違が多様

・自由な本の哨戒型の読書会だと意外な本との出会いに驚く

読書習慣がある人も、ない人も、参加してみると気づきの多いイベントなのは確実です。

劣化するオッサンって誰のことだ?

神保町のブックハウスカフェで堀口 英太郎さんの読書会を楽しむ、食事もしながら

堀口 英太郎さんの読書会運営スタイルは、自由で、リラックスできるのでオススメです!

今回、私が参加したのは、堀口 英太郎さんの読書会です。月1回、1冊の本をテーマに、それぞれが考えたり、気になることを話し合う会です。(場所は、神保町のブックハウスカフェ

前回までは『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を連続して、読解力とは何か、などを参加者の考え方も交えながら話し合ってきました。

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今回取り上げたのは、山口周さんの『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか (光文社新書)』という一冊の新書です。

はじめに、で山口さんは、「オッサン」を以下のように定義づけしています。

1:古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する

2:過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない

3:階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る

4:よそ者や異質なものに不寛容で、排他的

日常生活の中でも、特定の誰かの顔や名前が浮かぶのではないでしょうか。

ドラマ・映画などで、古臭い悪者キャラは、このイメージを強く印象させて登場しています。

この定義に近ければ、年齢・性別・国籍関係なく「オッサン」となります。

逆に、新しいものに貪欲で、相手の年齢に関係なく謙虚で公平に接することができ、新参者に対してもオープンな姿勢であれば、誰もが「オッサン」化しないという意味にもなります。

一番難しいのは、過去の成功体験を捨てるということではないでしょうか。

誰もが過去の自慢話をしたがります。変えられない過去を美化して語るときほど、人は悦に浸っています。人生をブラッシュアップするようなイノベーションな人生を送れとは、学んできていない事実を乗り越えるとしたら、苦渋な思いが残るのは理解できます。

世代論なのか、一流〜三流のランク付けなのか、軸はどこ?

世代論として、著者の山口さんは下記のように書かれています。

2018年時点で、五十代、六十代となっているオッサンたちは、70年代に絶滅した「教養世代」と、90年代以降に勃興した「実学世代」のはざまに発生した「知的真空の時代」に若手時代を過ごしてしまった。

いわゆるバブル世代と言われる彼らがオッサンになって、世の中が困っている、と。

確かに、上り坂の時代の最後に若手時代を送っただけに、深い教養を求めるわけでも、グローバル時代を生き残るために英語や、MBAなどを求める実学志向とも異なるのはわかります。

彼らは、同世代の数も多く、失われた20年を背負う役割を果たそうとしたものの、大きな成果をあげられたとは言えないと、冷たく言われてしまいがち。

個人的には、世代をまとめてしまう発想は、「いまどきの若者」論と一緒で、個人を無視して一塊にしすぎることに違和感が残ります。

また、今回の本のサブタイトルに「なぜ一流は三流に牛耳られるのか」というコピーが気になりました。

会社を起業した経営者が一流で、その後、世代交代をしていくうちに二流、三流に落ち込んでしまうという主旨に納得できる部分はありました。

ただし、この本の中で、二流が一流を越えられずに、気が付くと、三流にバトンをつなぐことで、会社組織などが劣化していくという流れは、世の中を見ると事例が浮かびます。

ただ、一流の人であっても劣化する時がないのか、という点を話し合いました。

ここに出てくるのは、世代・年代による話。当然、誰もが衰えてきてしまえば、後進に譲らなければなりません。この引き渡しがうまくいかないことで、長く頂点に立つトップがいることで、周囲はYESマンに成り下がっていきます。

結果として、組織の場合、一流が一流に経営や運営を渡し続けることには無理があります。時代や環境が変わるので、同じスタイルを続けていては生き残れない時代です。

例えば、イチローなどの一流のスポーツ選手は、自分のパフォーマンスが維持できなくなれば、当然、現役を引退しなければいけない立場に追い込まれます。自分の能力を引き渡す相手は存在しません。

読書会でも、どうすれば一流になり、誰が二流、三流なのかという議論や、二流が一流になるにはどうすればいいのか、三流はもう人生を変えられないのか、という点を救う方法はないのか、などを話し合いました。

こういうポイントを一人で悶々とせず、参加者同士の考えを交錯できるのが、読書会のメリットの1つです。

三流で劣化したオッサンへの処方箋はあるのか?

この本のタイトルには「処方箋」が含まれています。最終章まで読み終えた瞬間、一体何が「処方箋」だっただろうか、という感覚が残りました。

最終章で、山口さんは、この本の主要なメッセージを4点にまとめています。

1:組織のトップは世代交代を経るごとに劣化する

2:オッサンは尊重すべきだという幻想を捨てよう

3:オピニオンとエグジットを活用してオッサンに圧力をかけよう

4:美意識と知的戦闘力を高めてモビリティを獲得しよう

そもそも、この本は、オッサンを見ているミドル以下の世代に書かれた本だとすると、「処方箋」を施すのが、若い世代側ということになります。

組織の世代交代というのは、組織が永続的に維持拡大するという設計で考えていますが、この考え方そのものが「オッサン」ではないかと考えます。

もはや、組織や団体が何十年も変わらずに残れる時代ではないので、世代交代をするという観点がズレているのではないでしょうか。

「オッサン」だから尊重するというのは、儒教も含めた日本文化だから、と言われても、年齢や世代で尊重する、しないの価値観も消えかけていて、他人のことは誰であっても尊重すべきと捉えるのが正解なのではないかというのが私の持論です。

オピニオンとエグジットで「オッサン」に圧力をとありますが、相手が圧力に感じなければ通用しません。むしろ、「オッサン」たちに今までの経験や持ちうるスキルを生かせる、新しい場所や環境へのエグジットをするようなマッチングの道を提示するようなことが必要なのではないでしょうか。追い出されるとすると、誰もが抵抗を示すのは間違いありませんから。

最後に山口さんが語る言葉にメッセージの本質が理解できました。

年をとっただけで「老いる」ということではありません。つまり「オッサン」というのは、好奇心を失い、謙虚さも失い、驚きながら学び続けるという姿勢を失ってしまった人たちのことを言うのです。

本書では「劣化するオッサン社会の処方箋」をつらつらと述べてきましたが、最もシンプルかつ重要な処方箋は、私たちの一人ひとりが、謙虚な気持ちで新しいモノゴトを積極的に学び通づける、ということになると思います。

この最後の文章で繰り返した「謙虚」というフレーズに「オッサン」への処方箋があると気づきました。

誰もが、自分の実績や評価の頂点を得ることで、他人に対して傲慢や横柄になったり、新しいことへのチャレンジを止めた時点で、年齢関係なく「オッサン」化してしまうのです。

世間に対して偉そうに語るよう人であっても、一部に熱烈なファンがいるような著名人を「オッサン」に感じさせない理由は、常に自分を進化させようと学び、行動をしているからに尽きます。

90歳でも学び続けようとしている井浦先生のことを思い出しました。

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結論:「劣化したオッサン」にならないために

世代・年代ではなく、一流~三流というレベルの違いではなく、好奇心を持って情報を得よう、人に会って学ぼう、本を読もう、そしてアウトプットしようと行動できていれば、見た目では「オッサン」になっても、人間として「劣化したオッサン」にはならないと、私は考えます。

自分自身が「ここまで」と勝手にゴールを定めて、余生をのんびりと、過去の実績資産だけで生き続けようと思った時点で、誰もが劣化してしまうのだと。

昨日よりも、今日の自分は、少しだけ賢くなれた、新しいことができた、と思える人生を歩みましょう。
“人生をExpandし続ける、サードプレイスな生き方”を選べば「劣化したオッサン」にならないと信じています。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。